30代に突入すると、自ずとライフステージの変化を求める。とくに仕事においては「この道でいいのか」「方向転換が難しくなる」などと、これまで経験してきたキャリアをまっさらにして、将来の進むべき道、自分が本当に経験したかった道を新たに歩んでいく。
ONのメンバー、TAKANORI.Wも、まさに30歳を起点にして、チームにジョインしてきた一人だ。ターニングポイントに立っている人にも指針となるだろう、彼の歩みを追っていく。
大学卒業後にデザインを学ぶ専門学校に入学
ONに入る前から、デザイナーとしての経験と実績を豊富に積んできた。これまでインタビューしてきたメンバーは、異業種、もしくは未経験から転職してきたケースが多い中、ブレずにやりたいことを続けてきた。
「大学を卒業してから、グラフィックデザインを学べる専門学校に進んで、アルバイトでも会社に入ってデザインを学んでいました。そもそも興味を持ったのが大学時代のダンスサークルで、チームのTシャツなんかをデザインする機会があって、『あっ、これは楽しいな』と思ったんです」
卒業後も、グラフィックデザインを扱う会社に就職。PhotoshopやIllustratorを使いこなし、ぐんぐんとスキルを高めていく。
「そこではWeb広告だったり、企業のホームページを作っていて、自分はバナーやコーディングをやっていました。仕事自体は割と楽しくはできていたんですが、ベンチャー企業だったので、みんな探り探りでやっていましたね」
2〜3年在籍した後、新たな環境を求めにWeb制作会社に転職。小さな事務所ではあったが、案件は大きかった。
「社長が大手広告代理店との繋がりがあって、そこのプロデューサーから直接仕事をいただいていました。ひとつひとつの広告規模が大きかったので、相当いろんなことが経験できかなと思っています」
「ディレクターをやってみませんか?」
社員が少ない中で回す大手クライアントからの依頼。人数の多い会社で業務にあたるよりも、成長曲線は大きい。それでも「再び転職をしよう」、そんな思いが沸き起こる。
「一社目のグラフィックデザイン制作の会社もそうだったんですが、スマホが普及している中、“PCのみ”のサイトを作るみたいなことが結構あったんですね。それに対して、『もっと挑戦できないかな』という思いがあったし、ちょうど年齢も30歳に差し掛かって、このままだと成長が止まってしまうんじゃないかと」
その流れからさまざまな企業を検索。「ユニークなスタイルだな」そう感じたのが、ONだった。
「色んなプロジェクトがあって、プロジェクト先を変えれば、自分だけの別のキャリアを積める。それができるのは、僕にとってすごくいいことだなと思ったんですよね」
ジョインした後、彼は「コーディングとデザイン、両方ともできるところに行きたい」とONのチームに伝える。これまでのキャリアを考えれば、いたって自然な要望だ。しかし、返ってきた答えは意外なものだった。
「『ディレクションのポジションをやってみるのはどうですか?』と言われたんです。自分としては全然考えてなかったんですが、そんなチャンスってなかなかないので、『むしろありがとうございます』っていう感じでしたね」
「独立」「起業」どちらの道も応援してくれる
長い「プレイヤー」の時代から「ディレクター」に30歳を過ぎてキャリアチェンジ。しかも、プロジェクトは大手ミュージックレーベルという、初めてにしては相当な気合が必要な環境だった。
「最初はやっぱり『どう回していけばいいんだろう』とか、結構大変なこともあったんですけど、周りの方のサポートもあって、徐々にスムーズに仕事ができるようになってきました。以前、大手広告代理店の仕事に携わっていたのも、メンタル面で大きかったですね」
3月でプロジェクトに入り1年。慣れも出てくる時期だが、規模の大きさから、常に適度な緊張感を持って業務にあたることができている。
「人気アイドルのファンクラブサイトも担当していたりするので、Xの感想も常に投稿され続けているんですね。ファンのリアクションを見るっていうのは、やりがいにもなっていますし、だからこそサイト遷移がしづらかったり、誤字脱字がないよう、公開まで細かいところをチェックしています」
今後は、高いレベルでのマルチプレイヤーを目指すとともに、「独立」の選択肢も用意している。
「フリーランスなのか、友人と会社を立ち上げるのか、そこはまだわかりませんが、ゆくゆくはどちらかでいければなと考えています。ONの環境は、そうした『独立したい』っていう気持ちを汲み取ってくれるし、メンターも寄り添って将来のことを考えてくれる。これまでにない環境で、経験を積んでいきたいと考えている人には適した会社なんじゃないかなと思います」