「人生いろいろ」とは言うが、ON立ち上げ時からエンジニアとして在籍するKAZUKI.Oのキャリアは、なかなか個性的なものだ。

30歳を過ぎて、工事業界から未経験でエンジニアの道へ。そこからはプロジェクトベースでアプリエンジニアに成長し、『ファイナルファンタジー』シリーズのゲームアプリの開発にも携わり、クレジットにも名前を残すまでに飛躍した。ONに入るまで、そしてONで叶えてきたキャリアを語ってもらった。

30歳を過ぎるまでエンジニアの「エ」の字もなかった

社会人としての歩みは、現在の仕事とは全く関係ない、別業種からスタートした。

「30歳を過ぎるぐらいまで、アルバイトをしたり、空調設備の工事をする企業で、現場に出向いて働いてました。だから今やっていることは……当時からすれば考えられないですね(笑)」

そんな彼がONに入社することになったのは、「偶然」とも言える出会いがきっかけだった。

「その会社の経理の人が、ONの代表であるTSURUさんとたまたま知り合いで、紹介してもらったんですね。その頃、ちょうど転職もしたい、そして開発業務がしたいという思いが芽生えていて、面談の末入社させてもらいました。もうあっという間の10年になりますね」

未経験だったため、当初はテスターなどの業務を行っていたKAZUKI.O。それでも「いつかはプログラミングに携わりたい」そんな思いで研鑽を積んでいた所、思わぬ転機が訪れる。

「スクエア・エニックスとDeNAが共同で開発していた『ファイナルファンタジー レコードキーパー』というゲームアプリに携われることになったんです。ゲームを作ることを目標にはしていたんですけど、突然言われたのでびっくりしました。あまりにも有名なので『えー、本当に自分で大丈夫なの』って」

経験的にはまだ浅いかもしれない。それでも、普段からの働きぶりを見ていたONの社長含め、社員が一丸となり、出向先にKAZUKI.Oを推薦したという背景がある。

「ありがたいですよね。普通の会社だったらチャレンジができなかったと思います。そのゲーム会社に入ってからは、中の人達が使う管理ツールの制作とか、デバッグ作業とか、後半は海外向けのチームに入って作業していました。スタッフのクレジットに自分の名前があるのを見たときは、本当に感動しましたね」

働き方、やりがい……転職してからすべてが好転した

その後、別のアプリケーション開発で経て、今年の2月にONに戻り、社内の開発業務を担当。エンジニアとして、着々とキャリア積み重ねているKAZUKI.Oだが、そもそもなぜエンジニアの道を目指したのか。それは生活していく中で気づいた「不便さ」にある。

「空調工事の会社で働いてたとき、子どもが保育園に通っていたんですが、お知らせをいちいち紙で配っていて、『もっと便利にならないかな……』と。これはDX化した方がいいみたいなものを気づいて興味が湧いたっていう感じです」

それにしても、30歳を過ぎてから、スキルを持ち合わせていない業務に挑む不安はなかったのだろうか。

「割となんでも『どうにかなるだろう』みたいな、楽観的な考えを持っていたのが役立ちましたね。もちろん本を読んで学習はしましたけど、結局現場に入って『やりながら慣れる』っていうのが、一番の上達の近道かなと思います」

この会社に入り、働き方はガラッと変わった。

「工事現場に行っていたときは、朝4時に起きて、会社に集まってそこからみんなで車で現場に出動して、返ってくるのが19時とか、精神的にも肉体的にもハードでしたね。いまは家族の顔を見て、『行ってきます』と言ってから仕事に行ける。3.11も経験して、そんな何気ない出来事がすごく大切になりました」

そして、仕事の「やりがい」においても大きな変化があった。

「やっぱり、アプリができ上がったときに、それがちゃんと動くのを見るのが楽しいし、世に出た後、レビューだったり、いろんな感想を見ることできるのは結構なモチベーションになります。工事現場だと、最終的に出来上がったものを見ることはあんまりなくて、達成感も感じられなかったので」

必要なのは「前向きなマインド」

KAZUKI.Oのように、未経験でもエンジニアで、羽ばたける環境がONにはある。そこに必要なのは「前向きなマインド」だ。

「『難しいからもういいや』とか、すぐ心が折れちゃう人は、正直厳しいのかなと思います。社内を見渡しても、優秀なデザイナーもいるし、エンジニアとしてベテランの人もいるし、アドバイスをもらえるひとがたくさんいます。未経験で入った人は、臆せずどんどんコミュニケーションを取ってほしいですね」

10年のキャリアを経たこの先、KAZUKI.O個人の展望はどうなっているのか。

「今のところは、社内で引き続き開発の仕事をやっていきたいなっていうのはあります。あと、ディレクターというよりは、自分はどちらかというとプレイヤーのタイプ。今でも扱ったことのない言語に触れて勉強することも多くて、それが楽しい。今後も新しい技術、知らない言語にどんどん触っていけたらなと思います」