誰しも、現状に迷いを抱く瞬間がある。
「このままでいいのか」「自分には、もっとできることがあるんじゃないか」そんな問いに向き合ったとき、どう行動するかで、その後の人生は大きく変わっていく。
新潟でキャリアをスタートさせたMAMI.Tも、そんな想いを胸に東京へ出たひとりだ。選んだのは、デザイナーという未知の世界。決して華やかではないかもしれない。けれど、ひとつひとつ、自分の手で積み重ねてきた経験と実感が、いまの彼女を確実に形づくっている。

「自分はこのままでいいのか」変わりたくて、東京へ
社会人としてのキャリアは、地元・新潟からはじまった。穏やかな日常の中で、クリエイティブな仕事への思いを密かに抱えながら、一歩ずつ経験を積み重ねていく──そんな堅実なスタートだった。
「新卒では写真関連の会社に入りました。3ヶ月ぐらいは携帯の代理店販売で営業の仕事をして、その後、写真の印刷や加工を担当する課に異動して、七五三や結婚式のアルバムのデザインをしていました」
カメラや写真が特別に好きだったわけではない。「ものづくりの仕事がしたい」という思いが、最初のキャリアを選ぶ基準だった。実家のある新潟から通勤し、やがて一人暮らしを始め、気がつけば5年間、同じ会社で働き続けた。

「私のいた会社ってあまり新卒採らないんです。だから後輩もなかなかできなくて。でも、なんとなく『この子は将来消える』と思われてたんじゃないかな(笑)。私の性格とかを見て、会社にずっと染まっていくタイプではないと思われていたのかもしれません」
日々忙しく働く中で、ふと、「このまま続けていても、自分は何も変われないかもしれない」と感じた。転職活動を機に、生活拠点も東京へ。背中を押したのは、不安よりも、もっと成長したいという気持ちだった。
「大学も美術系じゃないし、何ができるかなって思った時に、調べててWebにたどり着いたんです。高校時代にHTMLで部活の仲間のためにブログサイト作ってたんですよ。みんなの日記を集めたコミュニティみたいなやつ。コードに触れてた経験がちょっとあったので、これならいけるかもって思ったんですよね」

現場で学び、ひとつずつ積み上げた「デザイナーとしての自信」
先に伝えておこう。ONとの出会いは「条件が一番よかったから」。ただ、それだけじゃない。洗練されたデザインの採用サイトを見て、直感的に「一番かっこいい」と感じたという。コロナ禍に入社したのち、行政のオペレーターやテスター業務からスタートした。
「並行して、ポートフォリオ作品を作るためにONの方にサポートしていただいたり、自分でもコーディングの勉強をしていました。デザイナーとしての実務はまだ先のことで、当時はひたすら手を動かして、ひとつずつ積み重ねていく感じでしたね」
初めてのデザイナーとしてのプロジェクトは、とあるクレジットカード会社の案件。彼女しかデザインやコーディングができる人がいないという、なかなかタフな現場だった。
「最初は『聞ける人がいない…』って焦りました(笑)。でも、エンジニアの方に聞きながら、なんとかやっていって。わからないことをちゃんと口に出すことって、大事だなって思いました」
その会社では約1年半勤務。ワンオペに近い環境から「チームで制作したい」という希望が芽生え、新たなプロジェクトを希望した。
「一人じゃ学べないこともあるし、他の人と知識をシェアしながらやってみたいと思ったんです。誰かの工夫を知って、自分のやり方も変わる。それが面白いなって」

現在は、7人規模のチームで、イベントのLPやバナーなどを手がけている。Figmaを使った制作にも慣れ、デザイナー間での勉強会なども日常的に開かれているという。
「チームだと、作ったものを先輩にチェックしてもらえて、そこから学べることがすごく多いです。自分の甘さに気づけるんですよね。『こういう意図でデザインしたの?』って聞かれて、言語化できないと気づくこともあります」
制作物の成果が数字で返ってくるのも、大きなやりがいだ。
「『このバナー作ってもらったおかげで、CVが上がったよ』とか、そういうリアルな声が返ってくるのはやっぱり嬉しいです」
現在のプロジェクトには、ONのデザイナーが他に2名おり、それぞれ担当領域を分担している。MAMIはイベント系のデザインを主に担当しているが、今後はより幅広い案件にも携わっていきたいと考えている。
「リニューアル案件が多いので、慣れてきたら新規でがっつり作るものもやってみたいです。ゼロから形にするのって、きっと楽しいと思うので」

「新しいことに挑戦するのが好き」Webも、バンドも、未来も
いまでは趣味に使う時間も増え、MAMIは東京での生活をしっかりと楽しんでいる。最近の挑戦のひとつが、バンド活動だ。
「ベースをやってます。他の人からは『難しいよ』って脅された(笑)、緑黄色社会のコピーでライブに出ました」
社外の音楽サークルに所属し、仲間とともにライブにも出演。新しいことに挑戦するのは、彼女の日常そのものだ。
「成長してないって思うのがちょっと怖いんです。新しいことを始めて『できた!』っていうのが、私のモチベーションなんだと思います」
Web業界未経験からのスタート。だが今では、自信を持って「デザイナー」と名乗ることができる。これからジョインするON後輩へのエールを尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「やりたいことにチャレンジさせてもらえる会社だと思うので、何ができるか不安でも、まず飛び込んでみてほしいです。大事なのは、やる気と、会社任せじゃなく自分で動く姿勢。受け身だと力がつかないので」
これからも、MAMIは新しいことに貪欲に挑み続ける。ベースの音も、デザインのスキルも、そのすべてが彼女の人生を豊かにしていく。
