デザインの道に進むと決めたとき、どんな景色が広がっているのかなんて、誰にもわからない。好きなものを自由に作れると思っていた学生時代から、現実の厳しさに直面する新卒期、そして自分の限界を超えようともがく日々ーー。

AYAKA.Kは、グラフィックからWebへとフィールドを移しながら、デザインの可能性を広げてきた。「未経験」という言葉を軽々と飛び越え、新たな挑戦を続ける彼女が、いま見据えるものとは何か。

「アイデアで課題を解決する」デザイナーという選択

現在百貨店、コスメ系、学校などの幅広いWebデザイン案件に携わっているAYAKA。自ら提案を行う機会も多く、20代デザイナーのキャリアとしては順調な曲線を描いているように見えるが、美術大学に通っていたころは「もっとフワフワしてました。結構ちゃらんぽらんな人間で……」と苦笑いをする。

「ずっと東北地方で育ったんですが、物心ついたときから漠然と『物をつくる仕事に就きたいな』という気持ちはありました。本格的にデザイナーを目指したのは大学2年生後半ぐらいからですね。人が抱える課題に対して、デザインのアイデアで課題を解決をしていくっていう作業行程に魅力を感じていたんです」

「デザイナー」と一口に言っても、様々な職種がある。AYAKAが新卒入社で得た肩書は「グラフィックデザイナー」。ポスターや書籍、商品のパッケージなど、いわゆる平面デザインを制作する分野だ。

「紙とか印刷系メインの制作会社だったんですが、振り返ると相当忙しくて大変だったっていう感想の一言です(笑)少数精鋭の制作会社で、OJTが用意されているというよりは、手を動かしながら仕事を学んでいくみたいな環境で。大学までの『好きなものだけ作ってればいい』ときとは全然違って、ついていくので精一杯でしたね。仕事の突き詰め方はここで叩き込まれたと思います。

「未経験OK」でも選考に落とされ…巡り合ったONの採用サイト

ハードなスケジュールに追われ、帰宅が遅い日が続く。そこから2年、経験を積み、これからさらにようやく成長フェーズに突入するというタイミングで、転機が訪れる。

「新卒からお世話になっていたベテランのデザイナーさんが辞めちゃうことになって、さらにそのとき持ってた案件のスケジュールがとんでもなく過密で『この先どうしよう……』っていう頭になっちゃったんですよね。細かく要望を聞く隙も、それができる立場にもなく、指示された修正を繰り返すだけの日々でここで5年、10年働いた先にデザイナーとしての未来があるのか急に不安になってしまって」

そこから、仕事の合間を縫って次の環境を探すも「2年ぐらいのデザイナーキャリアだと中々面接が通りにくくて……」と思い通りにいかない日々。最終的に出会ったのが、ONだった。

「そもそも、以前からWebデザインにも興味があって、未経験でも入れる企業も候補に入れてたんですよ。『未経験OK』とうたっているところは他にもあったんですけど、結局経験者を探していたりして、正直ONもそうなのかなと思ったんですが、面接で話していくうちに『あ、自分でも大丈夫なんだ』と思えて。あと、ONはホームページが格好良くて、それは信頼する材料になりましたね。内部で良いものを作っていないとやっぱり説得力がないじゃないですか」

ONにジョインしてからは、Webデザインにまつわる基礎の指導、プロジェクト先に見せるポートフォリオづくりなどを経て、1ヶ月で最初のプロジェクトが決定。密かに思いがつのっていた「Webデザイナー」としての一歩がスタートする。

「最初は慣れるまでは大変ではあったんですが、そこまで遅い残業もなく『自分で勝手に退社していい』という世界があることに感動しました(笑)。家に帰ってゲームしたり、イラストを書いたり、余暇で趣味の時間今いるところもそうなんですが、プロジェクト先には恵まれていて、良い経験を積めているし、健康的な生活も送れているし、ありがたいなと思いますね」

「アートディレクター」としてもっと楽しい景色が見たい

グラフィックからWebへ。デザインを乗せる「場所」に変化が起こることで、すべきことにもどのような差異が生まれているのだろうか。

「グラフィックはひとことで言うなら『自由』というイメージ。それに比べてWebは『制約』のある作業です。『ここでこの範囲に画像を表示して、フォントを何ピクセルで置いて……』とか数値で指示を出さないといけないので、かなり違いはありますね。私としては、Webの“制約があるこその面白み”も感じていて、その中でどれだけ良いものを作れるか日々試行錯誤しています」

元来自分の性格を「課題に対して無限に考えちゃうタイプ」と分析するAYAKA。時間をかければかけるだけ、名が残る仕事に近づいていく。

「以前、プロジェクト先で自分が携わった案件が評価されて、広告・クリエイティブの専門誌に載ったことがあるんですよ。そのときは本当に嬉しかったですね。岩手にいる親には真っ先に報告して、購入してくれたようです。転職活動中はかなり心配をかけていたので……」

現在は百貨店、コスメ、学校などのWEBサイト、キャンペーンLPといった幅広いジャンルの仕事に携わっており、いまや「Webデザイナー」として独り立ちしている彼女だが、目指す場所はまだ多方面にある。

「いろいろ考えている内のひとつなんですが、『アートディレクター』としての道に行きたいなとは思っています。プレイヤー側もやりがいはあるんですが、クライアントに『こういうのはどうですか』と、自分から提案してデザインにより深く関わる立場になりたいなと。そしたらもっとデザイナーとして楽しい景色が見れそうじゃないですか」

頼もしささえも感じられる発言からは、彼女がつい最近まで「Webデザイン未経験」だったことを忘れさせられる。最後に、同じように未経験でONに興味を持った人へのエールをもらった。

「デザインをしていて思うのが『とにかく作る人』っていうのがめちゃくちゃ強いということ。誰に何も言われず、手を動かし続ける人は周囲でも大成しているし、同じデザイナーとして脅威に感じます。そのエネルギーを持っていれば、絶対憧れていた場所に行けると思うので、いま未経験でも気後れすることなく頑張ってほしいですね」